ではこういうのはいかがでしょう？ ありていに言えば恋愛もの。ただし狂気の。
主人公は幸薄い30歳の女性会社員。仕事は生真面目すぎるぐらい生真面目で、職場では有能で通っているのだが、いかんせん異性関係には疎い。
判で押したように7時きっかりに車で出勤し、定時に仕事を終えると、寄り道せずにまっすぐ帰宅する堅物。
そんな彼女がいつもの通勤途中、いつもの交差点の対向車線からやってくる車(車種・色は目立ったものがよいかも)の車窓ごしに、
とある男性に一目惚れしてしまう。この男性もきっと時間きっかりに行動しているタイプ。都会だと、特定の場所ですれ違うなんて
確率論的にそうとう難しいので、地方都市ぐらいに設定。
いったん気になり出すと、いてもたってもいられなくなった彼女はあらゆる手を使って情報収集し、その男性の素性を調べあげていく。
悲しいかな妻帯者だったが、思い込みの激しい彼女は恋する気持ちに歯止めをかけることができず、ストーカー行為に拍車がかかる。
なんとか私の存在を知らしめたい……口で伝えればいいのだが、玉砕は目に見えている。なんとか一芝居打って、彼に付け込む隙はないものか。
そんな彼女が車に乗っていつもの通勤途中、またぞろ男性の車とすれ違いそうになったとき、なんと苦し紛れに、その男性の車に車ごとぶつかりに行く。
幸いにしてお互いかすり傷ひとつ負うことなく事なきを得る。女は「脇見運転をしていて、ハンドル操作を誤った」などと口実を作り、
保険の相談をしたいのでと連絡先を聞いたりして、とにかく男に接近していくという流れ。
このあと、なんらかのドラマをさらに盛る必要がある。いっとき、男性といい仲になった方がよい。
そして後半、男性と彼女の間に致命的な亀裂が入り、別れ話が持ち出される。
背中を向け、去りゆく男性。追いすがる彼女。どうしても男性を妻のもとに帰したくない。そこで苦し紛れにとった彼女の行動は、
なんと、車に乗り込みエンジンをかけ、急発進で男に向かって……そして轢いてしまうのだった。
そして瀕死の彼を助手席に乗せ、いずこへともなく車は旅立っていく……。
返信する
