ではでは、手垢にまみれていささか食傷気味ですが、こんな吸血鬼モノはいかがでしょうか?
吸血鬼なんか前時代的で時代錯誤だ、みたいな、脊髄反射的な批判はおいといて……。
高校生の少女Aは自分が吸血鬼の一族だと信じて疑わない、誰かの血を吸うことで『癒し』が得られるというヘマトフィリア(吸血嗜好症)の持ち主。
生理の時期がきて体外に排出されたとき、むしょうに血が飲みたくなるという心のメカニズムに設定することにします。
定期的に人間の血を吸いたいところだが、現実的には誰もが首筋をさらして、飲ませてくれるわけじゃない。
対するB(Aとは同じクラスの同級生)は心に傷をもつ少女。夜な夜なリストカットし、おのが身体に流れる大嫌いな両親の血を流し、
デトックス(毒抜き)するのが習慣化している。なんらかの形で、AはBの自罰願望を知り、ここにひそかな『契約』を結ぶ。
すなわち、血を出す者と血を吸う者との図式が生まれる。Bが排出した血をAに与えるという、持ちつ持たれつの関係にさせる。
……ヘマトフィリアと言えば、ジョージ・A・ロメロの商業用デビュー作『マーティン』を彷彿とさせますが、あちらは結末こそ衝撃的でしたが、
いかんせん全体的に冗長でした。本作は持ちつ持たれつの関係は合理的であり、プロット次第でメルヘンチックでレズビアン的な淫靡さがありながら、
異常な少女たちの心象世界を浮き彫りにさせることができ、冗長さを打ち消せると思います。
細かいあらすじは考えていませんが、先にこんなエピローグのシーンが絵的に閃きました。
信州の高原。空はどこまでも青く、清澄な空気が張りつめている。白樺に囲まれた広場の中央にいる制服姿の2人。ひざまずいたA。その傍らに佇むB。
Bは手首をリストカットし、見上げるAの顔に血を垂らす。Aは恍惚とした表情で血を受け、ペロリと舌なめずりする。まるで禍々しい儀式のよう……。
広場の外に待機していた警官隊は、班長の号令のもと、一斉に包囲網を縮めていく……。
思考ちゃんねる 【奇病】好血症『ヘマトフィリア』になってしまった結果・・・・・・
http://mindhack2ch.com/archives/20495374.htm...
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